JB-POT対策と合格体験記① ~はじめに~
突然ですが皆さんは「けいしょく」と聞いて何をイメージしますか?
「TEE」と聞いて何を想像するでしょうか?
ランチパックなどの「軽食」、男性シンガーソングライターの「TEE」さんでしょうか?(テレビでよく聴く"Baby I live you"を歌っている)
実はこれらの言葉、ぼくたち麻酔科医にとっては
経食道心エコー → 「経食」
transesophageal echocardiography → 「TEE」
と言って同じ意味の言葉になります。
麻酔科医は実に様々な手術の麻酔を担当しますが、
若手の麻酔科医にとって、ラスボス的存在として立ちはだかるのは何といっても
心臓血管外科手術の麻酔 ではないでしょうか。
その心臓外科手術の際に、心臓の動きやら血流やらをリアルタイムに評価するために使うのが、
経食道心エコーです。
ちなみに経食道と言うのは、口からエコーのプローブを挿入して、食道(または胃)を通して心臓の裏側からエコーのビームを当てるという意味です。(より一般的な、胸にポンとプローブを置いて行うエコーは経胸壁心エコー:transthoracic echocardiography TTEですね)
緊迫した手術の最中に、自信を持ってバシッと経食の所見を言えたら(これが難しいんですが・・・)、その一言で手術の方針が決まることもあります。
術中の麻酔管理も、エコーの所見を正しく理解することができていればより最短ルートで患者さんの循環動態を軌道に乗せていくことができるわけです。
経食を使いこなして、心外の手術の麻酔をバリバリやってる先生は、若手麻酔科医からみてやっぱりその背中がカッコいいんですよね。
実際使いこなすにはかなりの知識と経験が必要なのですが、
そんな経食道心エコーには知識と技術を保証するための認定試験がありまして、それがタイトルにもある
JB-POT認定試験
(JB-POT:Japanese Board of Perioperative Transesophageal Echocardiography)
なわけです。
これがなかなかに難しい試験で、麻酔科医の中でも合格していると「おぉ」となったりならなかったり。
例えば医師国家試験は、まぁ大体受験者の9割が受かる試験です。それでも合格するのは大変です。
JB-POT認定試験は、幼き頃から天才・神童と呼ばれライバルを蹴散らし数多の試験をくぐり抜けついには医師国家試験まで突破した受験エリートたちをもってしても、
なんと合格率が40-50%程度しかありません・・・!!(ちなみにこの試験、別に医師でなくてもだれでも受けることができますが、現状受験者は麻酔科医の先生が大半のようです)
合格率が低い理由はいろいろあると思いますが、その一つに
合格するための確立されたセオリーがない
ということが挙げられると思います。
医学部の試験も過去問が何年分もあったり、国家試験にも解説の充実した過去問やよくできたビデオ講座やあって予想問題を的中させてくれる予備校講師までいてくれたりと、
合格するためにこれをやれば良い、という勝利の方程式が確立されていて、みんなそのレールに乗って合格していくものなのです。
JB-POT認定試験もそこが確立されてくれば、今後合格率は次第に上がっていくものと思われます。
すでにJB-POT認定試験にも合格までの道筋を示してくれるサイトはあるのですが、その数はあまり多くないのが現状です。
今回試験に合格することができたので、そんなサイトの一つになってサンプル数を増やし今後受験する方の参考になればと思い、この記事を書きました。
前書きが長くなってしまいましたが、今後はより詳細に受験対策について書いていこうと思います。
それでは失礼します。