【JB-POT対策】楽しい麻酔科のブログ

若手麻酔科医師のブログです。JB-POT対策など読んでいただいた方の何かのお役に立てれば幸いです。

JB-POT対策と合格体験記② ~受験を決めるまで~

〇いつ受験するか?受験のメリットは?

JB-POT認定試験に合格する上で、一番重要な最初の分岐点は、

 

まず受験することを決意すること だと思います。

 

この試験に受験資格は特になく、キャリアのどの段階で受験するかも完全に自由です。

中には研修医の間に勉強して受かっちゃうような猛者もいるようです。

 

ただ、実際にいつ受けるかを決めるのは結構微妙なところで、

心臓血管外科の手術を見たこともないうちに受けちゃっていいのか、ある程度経食道心エコーには慣れたけど、日々の臨床や専門医試験や大学院で忙しくなる時期に受けるのか、いろいろ悩むところです。。

 

個人的な考えとしては、

「いつ受けてもOKだけど、受けるなら早いほうがいい」

つまり

「思い立ったが吉日!」

だと思います。

 

その理由としては、

①今後麻酔科にとって経食道心エコーの必要性は増してくると思うので、いずれ取るなら早いほうがいい

②合格率を考えると、確実に一発で合格できるとは限らないので、合格するチャンスを増やす意味でも早くから受験したほうがいい

③試験という目標がないとどうせ勉強しない(少なくとも僕は)

④勉強すればするほど、同じ症例から学べることが多くなり、早くから勉強していたほうがより早く麻酔が上手になる、楽しくなる

 

といったところでしょうか

特に④ですが、経食道心エコーの知識がゼロのうちは、同じ画面が視界に入っていても得られる情報も限りなくゼロに近いので(見えてはいるがわかってはいない状態)、非常にもったいないです。

 

なので、受かる受からないはとりあえず置いといて、さっさと勉強を始めてしまうことをお勧めします。

 

〇「でも原理の勉強が、、、、」という言い訳を封じる

ここで、「じゃあちと勉強を始めてみようかな、、」とちょっと思って参考書や問題集を手に取ったあなたに最初のトラップが待ち構えています。

 

「うわ、、、原理の分野が難しそう、、、」

 

JB-POTの受験を思いとどまらせる理由としてよく耳にするのが、

この原理の勉強が難しそうという問題です。

しかもやっかいなことにほとんどの問題集や参考書で第1章に原理が配置されていて、弁慶のように初学者に立ちはだかります。

 

ですが大丈夫です。弁慶には泣き所があるように、

このエコーの原理分野、一見難しそうに見えますがちゃんと勉強すれば試験を受けるころにはむしろ稼ぎどころ、癒しスポットとなり得ます。

高校の時生物選択でも関係ないです。そんなに覚える公式とかは多くないです。

臨床分野は重箱の隅を楊枝でほじくったような難問をこれでもかと出してきますが、

原理の分野はどこまでいっても原理なのでそんなにひねりようがないです。そして問題数もそこそこ多いので、ここが固まれば得点はかなり安定すると思います。

 

そしてさらに、経食道心エコーを実際に触るうえで、原理を知っていることはとても有益だと考えます。

例えば、麻酔中に誰かが意地悪をしてこっそりエコーの設定を変えてしまったとしましょう。エコーの原理を知っていれば設定を戻すのは簡単ですが、知らなければなすすべなく麻酔中は恐る恐るその設定で行くしかありません。

また、エコーで見たいところを上手に描出するためには、原理を知ったうえで設定を最適化する必要があり、いわゆるエコーがうまくなるためには原理の知識が必要になってきます。

 

まとめると、原理を知ることで経食道心エコーにたいする恐怖心が薄れ、エコーを味方につけることができるようになった気になれますので、いい機会だと思って原理も勉強してしまいましょう!

 

 

今回言いたかったのは、

とりあえず早めに受けてしまおう!

原理、恐るるに足らず!

 

これを読んで少しでも受験への心のハードルが下がってくれたら幸いです。

次回はJB-POTという試験の概要について最低限知っておきたいことを抑えていこうと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

JB-POT対策と合格体験記① ~はじめに~

突然ですが皆さんは「けいしょく」と聞いて何をイメージしますか?

TEE」と聞いて何を想像するでしょうか?

 

ランチパックなどの「軽食」、男性シンガーソングライターの「TEE」さんでしょうか?(テレビでよく聴く"Baby I live you"を歌っている)

 

実はこれらの言葉、ぼくたち麻酔科医にとっては

 

経食道心エコー → 「経食」

transesophageal echocardiography → 「TEE

 

と言って同じ意味の言葉になります。

 

 

麻酔科医は実に様々な手術の麻酔を担当しますが、

若手の麻酔科医にとって、ラスボス的存在として立ちはだかるのは何といっても

 

心臓血管外科手術の麻酔 ではないでしょうか。

 

その心臓外科手術の際に、心臓の動きやら血流やらをリアルタイムに評価するために使うのが、

経食道心エコーです。

 

ちなみに経食道と言うのは、口からエコーのプローブを挿入して、食道(または胃)を通して心臓の裏側からエコーのビームを当てるという意味です。(より一般的な、胸にポンとプローブを置いて行うエコーは経胸壁心エコー:transthoracic echocardiography TTEですね)

 

緊迫した手術の最中に、自信を持ってバシッと経食の所見を言えたら(これが難しいんですが・・・)、その一言で手術の方針が決まることもあります。

術中の麻酔管理も、エコーの所見を正しく理解することができていればより最短ルートで患者さんの循環動態を軌道に乗せていくことができるわけです。

経食を使いこなして、心外の手術の麻酔をバリバリやってる先生は、若手麻酔科医からみてやっぱりその背中がカッコいいんですよね。

 

実際使いこなすにはかなりの知識と経験が必要なのですが、

そんな経食道心エコーには知識と技術を保証するための認定試験がありまして、それがタイトルにもある

 

JB-POT認定試験

(JB-POTJapanese Board of Perioperative Transesophageal Echocardiography)

 

なわけです。

 

これがなかなかに難しい試験で、麻酔科医の中でも合格していると「おぉ」となったりならなかったり。

例えば医師国家試験は、まぁ大体受験者の9割が受かる試験です。それでも合格するのは大変です。

 

JB-POT認定試験は、幼き頃から天才・神童と呼ばれライバルを蹴散らし数多の試験をくぐり抜けついには医師国家試験まで突破した受験エリートたちをもってしても、

 

なんと合格率が40-50%程度しかありません・・・!!(ちなみにこの試験、別に医師でなくてもだれでも受けることができますが、現状受験者は麻酔科医の先生が大半のようです)

 

合格率が低い理由はいろいろあると思いますが、その一つに

 

合格するための確立されたセオリーがない

 

ということが挙げられると思います。

医学部の試験も過去問が何年分もあったり、国家試験にも解説の充実した過去問やよくできたビデオ講座やあって予想問題を的中させてくれる予備校講師までいてくれたりと、

合格するためにこれをやれば良い、という勝利の方程式が確立されていて、みんなそのレールに乗って合格していくものなのです。

JB-POT認定試験もそこが確立されてくれば、今後合格率は次第に上がっていくものと思われます。

 

すでにJB-POT認定試験にも合格までの道筋を示してくれるサイトはあるのですが、その数はあまり多くないのが現状です。

今回試験に合格することができたので、そんなサイトの一つになってサンプル数を増やし今後受験する方の参考になればと思い、この記事を書きました。

前書きが長くなってしまいましたが、今後はより詳細に受験対策について書いていこうと思います。

 

 

それでは失礼します。

最後まで読んでいただきありがとうございました!